松本の山間に佇む体育館で、Japan Juggling Festivalの会場に入る前に靴を脱ぎ、丁寧に袋にしまう。世界中のジャグリング・コンベンションは本当に様々だと改めて思う。長年、日本の文化とジャグリングに魅了されてきた。その独自の練習方法と世界への発信の仕方に惹かれてきたのだ。以下に記すのは、1ヶ月間にわたる日本滞在で、ジャグラーたちの生活、コンベンション、練習場所、そしてインスピレーションの源を探した巡礼の記録である。
JJF(Japan Juggling Festival)は1999年から毎年開催されており、東京と隔年で選ばれる地方都市を交互に会場としている。名称に「Festival」とあるが、実態は本格的なコンベンションだ。日本ではこうした英語の使い方が独特で、至るところで見られる。このコンベンションの共通する特徴は、徹底した丁寧さと組織の厳密さである。参加者は幅広い年齢層だが、特に高校や大学のジャグリング部に所属する学生が多い。
Japanese Juggling Associationが主催するChampionship(CS)は、日本最大のジャグリング競技会であり、JJFの目玉イベントの一つだ。出場者は決められた時間内でルーティンを披露し、技術力、パフォーマンスの質、オリジナリティを審査員が評価する。カテゴリーは「男子個人」「女子個人」「チーム」の3つに分かれている。表彰式は非常にフォーマルで、審査員はスーツにネクタイ姿。出場者たちは興奮した様子で、深くお辞儀をしながら東洋文化特有の敬意と感謝の言葉を述べる。
JJF Championshipの演技は「JJF Championship」で検索すれば動画が見つかる。非常に特徴的で、中心となるのは高い技術力だ。さまざまな道具の数や種類を明確に披露し、シークエンスの終わりに演劇的なポーズを決めることが多く、音楽はポップスがよく使われる。この形式は欧州の演技とは大きく異なる、日本で最も人気があり憧れのスタイルである。
ちなみにJJFは通常3日間(長い週末)で開催される。ほとんどのジャグラーが社会人で、平日に休みを取るのは難しいためだ。参加費は中〜高め(約140ユーロ相当)。体育館は9:30に開き19:30に閉まる。練習に励んだ後は皆で外食をし、宿泊は各自で近くのホテル・ホステル・民泊を手配する。共同キャンプはない。
JJFが終わると、私は東京、名古屋、大阪、京都へと旅を続けた。ジャグラーたちはバスケットボールコートをはじめ、さまざまな体育館や小さなダンススタジオで練習している。東京では幼稚園があるビルの6階、名古屋では運動リハビリセンター、大阪では点在する複数の体育館など、場所は実に様々だ。少額の料金で夜間練習が可能で、使用後は必ず掃除をし、裸足で入るのが決まりだ。仕事終わりに練習するほか、グループで自分の演技をビデオで見直し、ストップウォッチとドロップ数を数えながら次の大会に備える姿も見られる。
日本ではジャグリングは本格的なスポーツとして認識されており、選手権も根付いている。大阪では大学サークルが主催するデビルスティック大会に参加し、1日中、細かくスケジュールが組まれた大会に全国から、そして香港からも参加者が集まっていた。
もう一つの特徴は、扱う道具の多様性だ。デビルスティック、シガーボックス、カップスは、ボール、クラブ、リングといった定番と同等に人気があり、けん玉やヨーヨーなどのスキルトイも深く根付いている。さらに新しい道具や使い方が次々と生まれ、PM Jugglingの「Otedama club」のように毎回コンベンションで新しい道具を見かける。
日本国内の道具メーカーは非常に少なく、この多様性が手作り文化を育てている。デビルスティックとシガーボックスを作るKizoharuさんは「市場が大きくないので、一つひとつ手作業で作っている」と話してくれた。PM Jugglingのオーナー・板津大悟さんは、手作りのリング1つに約3時間をかけている。結果として高価だが、細部まで丁寧に作られた道具が生まれる。
日本では欧米に比べてプロとしての活動の場が少なく、行政の支援も限られている。路上パフォーマンスもほとんど見かけない(音楽家でさえ)。「禁止されていることはやらない」というルールが徹底されている。長年ソーシャルメディアで即興パフォーマンスの動画を公開し続けている山村友里さんは、フランスで学んだ後、日本に戻り、ジャグリングとダンスを融合させた活動を続け、多くのアーティストとのコラボレーションや自主公演を行っている。一方、長岡武弘さんは日本を離れ、中国のフェスティバルや欧州ツアーを目指して活動の場を広げようとしている。近年注目を集めている新鋭・On(4本腕のジャグラー)は、芸術展や人形劇のフェスティバルで活動し、海外での仕事も模索している。
フェスティバル、サーカス、路上といった仕事の機会が少ないため、主な発表の場は大会となり、競技形式がパフォーマンスそのものを形作っている。もう一つの障壁は地理的な距離と費用、そして長い休暇が取りにくいこと、加えて英語が苦手な人が多いため、EJC(European Juggling Convention)などの国際イベントへの参加が難しい点だ。
そのため、ソーシャルメディアが仮想的な交流の場となっている。練習スペースの開放情報(週ごとに管理者が公開)を共有したり、自分たちのアイデンティティあるスタイルを発信したりする場だ。近年はPatreonなどの有料プラットフォームで月額支援を受け、限定動画を配信するジャグラーも増えている。主に使われるのは、動画発信と世界への露出に適したInstagramと、テキスト中心のX(旧Twitter)である。
多くのジャグラーは本名を使わず、突然素晴らしい動画をアップし、ネクタイ姿で天井の低い自宅で練習している姿を見せる。ある者はそのまま姿を消し、数年後に突然新しい驚異的なシークエンスで再登場する。伝説的な存在として、村上さん(YouTube: mura345)が挙げられる。2009年から2014年まで精力的に動画を公開し、日本のジャグリング界に多大な影響を与えた。彼のトリックは今も多くの人が挑戦し、日本ジャグリングのイメージの一部となっている。その後姿を消し、現在何をしているのか誰も知らないという。YouTubeチャンネルの説明文は、彼が優勝したJJF Championshipの年次リストのみ——まさに日本らしい簡潔さと美学だ。